題名の基本と応用

文章術というのはそもそも断言できるような正解はほとんどありません。
特に題名は好みの部分が大きく、センスに左右されます。
ですから、ここではある程度の基本と、コツのようなものを考えてみます。
まずおおまかに考えて、題名は以下のように分類できると思います。

  • 主題・内容を題名にする
  • 中心的なもの・こと・人物・場所を題名にする
  • 主題・内容を象徴するものを題名にする

これらを基本に、補足的な考え方があります。

  • 作風や読者層にあわせる
  • 文中の印象的なフレーズをそのまま使う
  • あえて思わせぶりにする

ほとんどの題名は、はじめのみっつのどれかか、上記を組みあわせたものです。
なかなか難しいかもしれませんが、有名な作品から具体例をひいてみます。

主題・内容が題名になっている例:
『人間失格』(主題)
『吾輩は猫である』(内容 + フレーズ)

中心的なもの・こと・人物・場所が題名になっている例:
『ドグラ・マグラ』(もの・こと + 思わせぶり)
『坊ちゃん』(人物)
『走れメロス』(人物 + 内容 + 作風・読者層)

主題・内容の象徴が題名になっている例:
『斜陽』(象徴)
『歯車』(象徴)

「なんのことだろう? どういう意味だろう?」と思わせぶりにすると、興味をひく効果があります。
また、内容や想定される読者層によって題名の適不適も変わってきます。
たとえば、子供用の内容なのに大人っぽい題名、軽い内容なのにシリアスな題名などはおかしいといえます。

例によって正解のない話題です。
ただ、題名のいろいろな側面を考慮できるようになると、発想がまた違ってくるのではないでしょうか。
ぜひ印象的ないい題名を考えてみてください。