描写の順番

なにかを説明するとき、どのような順番で書くのがいいでしょうか。
よくいわれることですが、結論や要点から先に書くのが基本です。

足をゆっくりと動かし、両手をなめらかに旋回する。
軽く走ったかと思うと、大きく飛ぶ。
彼女は踊っている。

彼女は踊っている。
足をゆっくりと動かし、両手をなめらかに旋回する。
軽く走ったかと思うと、大きく飛ぶ。

前者は状況の説明ばかりをし、とにかくなにをしているのかという結論が最後です。
このような文章を読む場合、読者は三行目にくるまでなんのことかよくわかりません。
これは読者の記憶に負荷をかける文章といえます。
後者はまず要点を書いてしまい、それからそれを修飾する文章が続きます。

人間とは精神なのであるからして、当然、思い悩んだり、苦悩したり、絶望したりしつつ、しかしながら結局のところ、それらをつうじて、成長するのである。

人間とは精神であり、それは成長する。思い悩んだり、苦悩したり、絶望したりをつうじて。

翻訳ものには前者のようなくだくだしい文章が多く、読者はうんざりします。
ここでもやはり要点から書くとずっとわかりやすくなります。

原則的には、詳細や説明はあとにまわし、結論から、あるいは、重要な事柄から書きます。
この順番が逆になると、要点が示される前に情報が多く提示されすぎ、読者の記憶は混乱しわけがわからなくなってしまいます。

常にそうではありませんが、文章の基本は論理です。
いったいなにが言いたいのか? 一番重要な事柄はなんなのか?
よく考えてから書いてみましょう。