一文の長短

一文(センテンス)を短くすることは、もっとも手軽に実践できて、もっとも効果的な文章術のひとつです。
いろいろな例外はありますが、基本は、一文を短くつないでいくこと。
ほとんどの読みにくい文章は一文が長いです。

○○市にある××小学校は、創立100年になるが、当時700人以上いた生徒が、いまでは200人弱で、学年ごとにひとクラスしかなく、このことは、少子化や過疎化を象徴している。

○○市にある××小学校。創立100年になる。当時の生徒数は700人以上。いまでは200人弱だ。学年ごとにひとクラスしかない。これは少子化や過疎化の象徴だ。

わかりやすいように、やや極端にしました。
読みやすさの違いが感じられるでしょうか。

前者は読点も多く、一文のなかに様々な情報がつめこまれていて、くだくだしい印象です。
こういった文章は非常によく見かけます。
個性(性格・気質)としてこういう書き方をする作家もいますが、はっきりいってこれは悪文です。
ただし、文体として、なにかしら表現上の意図がある場合は例外です。

後者はひとつひとつの情報を一文ごとにまとめてあり、速度感があって読みやすく感じます。
記事のような例文にしましたが、メール、ブログ、小説、すべてに同じことがいえます。

先日旅行へ行ったのですが、まあ空港の広いこと広いこと、お土産を買ったりしているうちに汗だくになってしまい、冬のことですから、コートを脱いだりきたりがまた大変で、そんなこんなでばたばたしているうちに、見事、飛行機に乗り遅れたというわけです。

先日旅行へ行きました。しかしまあ空港の広いこと広いこと。お土産を買ったりしているうちに汗だくになってしまいます。なにしろ冬のことですから、コートを脱いだりきたりがまた大変。そんなこんなでばたばたしているうちに、見事、飛行機に乗り遅れたというわけです。

メールのようにしてみました。
最初の記事の例よりはずっと自然だと思います。

とにかく読みやすい文章をという方は、ぜひ短いセンテンスを意識してみてください。
これはとても重要なことです。
しかし決して難しくはありません。
まず、頭のなかで事実や行動をひとつひとつ整理します。
  1. 旅行へ行った。
  2. お土産を買った。
  3. 汗だくになった。
  4. 飛行機に乗り遅れた。
……などのように。
あとは、読点のいらない、もしくはせいぜいひとつかふたつの文章を意識して書くだけです。
文脈にもよりますが、読点は一文ごとにみっつをこえるともう多すぎると思います。

これだけで読みやすさが全然違います。
文学的表現になってくると、どこまでもずっと読点でつないだ文章などもありますが、そういったものは上級技術です。
まずは一文を短く短く、意識してみてください。